H₂O₂点滴療法とは?
適切な診断手順により、ブドウ糖液に溶かした点滴用のH₂O₂(過酸化水素)を点滴投与する治療法です。
主に以下の疾患への効果が期待できます。
- 呼吸器疾患:COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管支喘息、肺気腫など
- ウィルス感染:単純ヘルペス、帯状疱疹、HIV、インフルエンザ、EBウィルス、サイトメガロウィルス
- 細菌感染症:急性・慢性
- 真菌、カンジダ感染症
- 片頭痛、群発頭痛、血管性頭痛、側頭動脈炎
- 脳血管疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病
- 循環器疾患:狭心症、不整脈、末梢動脈疾患)
- 2型糖尿病
- 多発性硬化症、慢性関節リウマチ、エリテマトーデス
- 転移性がん、悪性リンパ腫、神経芽腫
- 慢性疲労症候群
禁忌
- 甲状腺機能亢進症
- G6PD欠損症
- 妊婦の方、妊娠している可能性のある方
H₂O₂点滴療法の内容
- 濃度3%のH₂O₂を、濃度5%のブドウ糖液に混ぜ、末梢静脈から点滴による投与を行います。
- 使用するH₂O₂の量は、現れた効果を観察しながら徐々に増やしていきます。
- 1回の治療時間は約40~60分です。
- 慢性疾患の場合は1週間に1回。肺炎等の急性感染症の場合は1日1回。患者様の症状の改善の程度に応じて、1~20回の範囲内で増減の調整を行います。
- 必要に応じて、血液バイオフォトセラピー、また他の酸化療法を組み合わせて効果を高めます。
※血液バイオフォトセラピー:アメリカでは一世紀近く前より行われ、ドイツ、ロシア、イタリアでも確立されている、血液を活性化させる療法です。一度取り出した患者様の血液に、紫外線を照射し活性酸素を発生させ、再び体内に戻します。デトックス、うつ、ウィルス感染、細菌感染、敗血症、気管支喘息、がん等、多岐に渡る疾患への効果が認められており、近年日本国内でも徐々に広がりつつあります。
H₂O₂点滴療法による作用
- 点滴で投与されたH₂O₂が、血漿、白血球内の酵素(カタラーゼ)と反応し、H₂Oと酸素に分解されます。
- 点滴で投与されたH₂O₂が赤血球膜に侵入し、2,3DPG(2,3-ジホスホグリセリン酸)を活性化させ、持続的に体内の酵素化を促進します。
- インシュリンに似た作用を起こし(インシュリン様作用)、糖代謝を促進します。
- H₂O₂が細菌やウィルスを殺菌します。
- 単球(単核白血球)、マクロファージ、ヘルパーT細胞などの免疫細胞の働きを活性化させ、免疫力を向上させます。
- 血中コレステロール、中性脂肪を低減させます。
- 肺胞内の血流を良化し、酸素化、壊死の防止、障害組織の除去を促進します。
- プロゲステロン(ステロイドホルモン)、サイロキシン(甲状腺ホルモン)の生成を促進します。
当院で使用するH₂O₂の薬剤について
当院のH₂O₂点滴療法では、点滴用に調剤された濃度3%の製品を使用します。アメリカからの冷蔵輸送後、厳格な管理下で冷蔵にて保管しております。測定器による定期的な濃度チェックを行い、適切な状態で治療に使用します。
※アメリカなどでは、経口用の高濃度Hydrogen Peroxideを希釈・ろ過して点滴投与するケースがあるそうですが、品質の不安定、異物混入のリスクなどを考えるとお勧めできません。
H₂O₂点滴療法の起源
H₂O₂を初めて医療に用いたのは、イギリスの内科医T.H.Oliver氏です。1920年、それまでインフルエンザ患者の致死率は80%以上でしたが、T.H.Oliver氏が行ったH₂O₂点滴により、48%まで改善されました。
アメリカのベイラー大学医療センターでは、1960年代よりがん治療に対する大規模な研究が開始されています。医師らは少量のH₂O₂点滴で、高圧酸素療法(がんを含む様々な疾患に効果のある治療法)と同等の効果が得られることを発見しました。またさらにH₂O₂点滴療法を放射線治療と併用することで、がん細胞の低酸素状態の改善、狭心症等の心筋虚血の症状改善、動脈硬化のプラーク除去効果があることも分かりました。